エッセイ(12)『犬も歩けば、情報に当たる!?』
今って本当に便利な時代になりましたね。
どこを歩いていても、ポケットの中のスマホひとつで、瞬時に情報が手に入るのですから。
昔だったら、道端で可愛らしい花を見つけても「これ、なんて名前だろう?」と思いつつ、そのままスルー。
図鑑で調べるのは面倒くさいし、図書館に行くのはさらにハードルが高い。
でも今ならどうでしょう?
スマホでパシャッと撮影して画像検索すれば、ものの数秒で答えが出てくる。
情報の手軽さ、まさに革命的。
ここまでくるともはや、私たち現代人ってスーパーマン並みですね。
『情報収集、ラクになった? いや、むしろ・・・』
さて、リサーチャーにとって、情報の収集はまさに命綱。
テクノロジーのおかげで、情報は格段に得やすくなりました。
でも、「仕事が楽になったか?」と聞かれたら、それはまた別の話。
むしろ、「もっと早く、もっと正確に」という期待がどんどん高まり、情報のスピード勝負は激化するばかり。
その結果、気がつけば机の前だけで完結するリサーチになりがちです。
実は私も若い頃、先輩に「もっと歩き回って情報を集めろ!」と言われたことがあります。
そのときは正直、「今どきそんな非効率なこと・・・」と心の中で思ったものです。
でも、何度か現場に足を運ぶうちに、まったく予期していなかった貴重な情報に出くわすことがありました。
そのときは「なんてラッキー!」と思っていたのですが、よくよく振り返ると、そういう発見は、いつも自分が動いているときに起きていたんです。
『遠回りが、思わぬヒントをくれる』
たとえば、ある調査で10人にインタビューする予定が、手違いで15人になったとしましょう。
「余計な手間が増えたな・・・」と思ったら、追加の5人から意外な発見が飛び出すことがある。
こういう「計画外」で貴重な情報を得るということ、リサーチの世界では結構あります。
つまり 「数打ちゃ当たる」戦法、意外とバカにできないんです。
「犬も歩けば棒に当たる」、これって実はリサーチの本質をついているんじゃないかと思います。
何かを求めて動き回れば、意外な発見やチャンスに出会うことがある。
最近の若いリサーチャーにこの話をすると、「ちょっとレトロなアドバイスですね(笑)」なんて言われますが、“歩いてみる” からこそ得られる情報がある、というのは、今も昔も変わらない真理です。
さあ、あなたもぜひ、机を離れて “歩いて” みませんか?
思わぬ発見が、すぐそこに転がっているかもしれませんよ!