エッセイ(18)『サンプル10の調査は本当に当てにならない?』
以前、”サンプル1”の調査についてお話ししましたね。
(エッセイ(14)『サンプル1が語る、真実の一片?』)
今回は「サンプル10」についてです。
「サンプル数が1から10に増えたところで、そんなに違いがあるの?」
「10人対象の調査なんて、役に立つの?」
そんな声が聞こえてきそうですが、実はこれが意外と“役に立つ”場面があるんです。
『どういう時に役立つの?』
たとえば、住宅設備商品について「顧客が商品を選ぶ際に重視するポイント」を知りたいとしましょう。
通常なら、顧客ユーザーを対象にアンケート調査を行いますよね。
その場合、サンプル数は数百単位が一般的で、「10サンプル」では物足りないかもしれません。
しかし、ここで少し視点を変えてみてください。
対象を顧客ユーザーではなく、新築やリフォームを手掛ける業者さんにするとどうなるでしょうか?
『業者さんは“経験の宝庫”』
住宅設備商品は取り付け工事が伴うため、これらを手掛ける業者さんに相談します。
そのため、業者さんは仕事柄、数多くの顧客ユーザーと打ち合わせをしてきた経験があります。
「お客様はどんな点を重視して、最終的に何が決め手になったのか?」
これを知っているのは、実は顧客ユーザー本人よりも業者さんだったりするんです。
業者さんには、豊富な経験と知見が蓄積されているわけですね。
だからこそ、業者さん10人にインタビューをするだけで、顧客全体の傾向や選定のポイントが見えてくることがあります。
『有識者インタビューと同じ発想!』
この考え方、いわゆる「有識者インタビュー」とも共通しています。
専門家や経験者への聞き取り調査を通じて、限られた人数からでも深く有益な情報が得られることがあるんです。
ただし、ここで注意が必要なのは「情報の偏り」です。
どの業者さんを対象にするのか?
対象者の選定は慎重に行わなければなりません。
『サンプル10の使いどころは?』
さらに、サンプル10の調査は大規模な調査の「プレ調査」としても有効です。
本調査に入る前に、ざっくりとした傾向を把握する目的で使うのもおすすめです。
「10人の調査なんて役に立たない」と決めつけずに、使いどころを工夫すれば、意外なほど大きな価値を生むことがあるんですよ。
次の調査では、ぜひ“サンプル10”の可能性を再発見してみてくださいね!