ますます存在感を増す「定性調査」
最近の傾向として、表面的でなくもっと本音のニーズを知りたい、との商品企画担当者の皆さんの思いが強まっています。
マーケティング・リサーチ会社としては、その思いにお応えしなくてはなりませんが、前回も申し上げたとおり、インターネット調査で本音レベルのニーズを引き出すにはやや無理があります。
これは、インターネット調査では無理ということではなく、アンケート調査手法そのものに限界があるということです。
そのために、グループインタビューやデプスインタビューなどの「定性調査」が注目されるのですが、この種の調査を成功させるためには、いくつかのクリアすべき条件があります。
第一に、小サンプルで行う調査であるため、調査対象者を厳選しなくてはなりません。
厳選といっても、それがなかなか難しい作業です。
これを間違うと、目的を達成することはできませんので、とても重要な作業となります。
調査企画内容にそってターゲットを明確にし、そのターゲットを代表する方に調査協力を依頼しなくてはなりません。
第二に、調査対象者から本音情報を引き出すためには、優れたモデレーター、インタビュアーの存在が不可欠です。
この点が、もっとも重要なことかもしれません。
グループインタビューのモデレーターは、依頼者の意図を理解し、調査対象者を十分温めて、議論を活発化させることができなくてはなりません。
そのためには、単なるスキルだけではなく、全人格を総動員して、全身全霊で対象者と向き合うことになります。
そうでないと、意識の深いところにうずもれている本音情報を引き出すことはできません。
第三に、引き出された本音情報を分析し、提案に結び付けるためには、高いレベルのノウハウが必要となります。
このように、グループインタビューやデプスインタビューといった定性調査の手法は、3条件すべてが揃って初めて成功する、かなり高度でデリケートな調査手法といえるのです。
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